食品衛生研究所は、食品・化粧品・医薬品等に関する微生物、理化学試験検査を行う、厚生労働大臣登録検査機関です。

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食品の技能比較試験 カビ数第4回(2018年11月)結果

 公益社団法人日本食品衛生協会 食品衛生研究所は、2016年より食品の技能比較試験事業を開始いたしました。本技能比較試験は、外部の有識者により構成された技能比較試験委員会および技能試験技術委員会の助言を得て開発され、国際規格ISO/IEC 17043(技能試験に対する一般要求事項)に基づく、国際的にも適切であると認められる技能試験スキームを目指し、運営されています。
 2016年から2017年にかけて、3回のカビ数技能比較試験を実施し、2018年11月には、試料を固体の麩から液体の模擬清涼飲料水とした4回目のカビ数技能比較試験を実施しましたので、その

を紹介します。

技能試験の今後の予定

2018年には第3回の栄養成分の技能比較試験を行い、2019年には分析項目を一般栄養成分にミネラル・ビタミンを加えた第4回の栄養成分技能比較試験を計画しています。

技能試験のフレーム

技能比較試験の意義

食品の国際規格であるCODEX文書の、CAC/GL27(1997)”Guidelines for the Assessment of the Competence of Testing Laboratories Involved in the Import and the Export of Food”では、食品の輸出入に係る試験所の要件として、以下の4つの項目が挙げられています。

○ISO/IEC 17025 に適合している

適切な技能試験に参加している

○妥当性確認された方法を用いる

○内部品質管理を実施している

また、ISO/IEC 17025 ”General requirements for the competence of testing and calibration laboratories”においても、7.7 Ensuring the validity of resultsにおいて、技能試験を含む試験所間比較への参加を挙げています。

このように、試験結果を国際的に保証するためには、技能試験への参加が必須です。

技能比較試験のスキーム

技能試験そのものについても国際的な規格、ISO/IEC 17043があります。この規格では、技能試験提供者の組織、技能試験試料、結果の評価等について定められています。食品衛生協会の技能比較試験は、この規格に基づいた組織により、適切な試料と評価報告を提供することを目指して運営されています。

技能比較試験の組織を示します。

 

提供者である(公社)日本食品衛生協会食品衛生研究所内に、食品の技能比較試験委員会が設置されています。技能比較試験委員会の役割は

  • 技能比較試験年次計画の作成
  • それぞれのラウンドの企画書、実施要領の作成、試験結果の評価、報告書の作成
  • 不測の事態発生時、技術的な面での提案と原因究明
  • 運用にかかわる提案
  • 技術委員の推薦

です。技術委員はそれぞれの技能比較試験毎に任命され、適切な試料の選定と作製、均質性及び安定性の評価、結果の評価に対する専門的助言を行います。
さらに、ISO/IEC 17043の序文では、技能試験の目的の一つとして、「比較の結果に基づく参加試験所の教育」が挙げられています。これを踏まえて、技能試験の終了後に、参加者の教育と技能向上を目的としたフォローアップ研修を行います。

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食品の技能比較試験カビ数第4回(2018年11月)の概要

試験内容
試験項目 カビ数(試料1 mL当たり)
試験方法 平板培養法
評価方法 報告値のロバスト平均及び標準偏差に基づくz-スコアを用いて評価する。
試料 模擬清涼飲料水 (Penicillium 5×105 CFU/mL )

それぞれの試料のカビ数の変動が、技能試験結果に影響を与えない程度であることを確認するために、均質性試験を実施しました。作製した試料100本から乱数表に従って、10本を選択し、カビ数を測定しました。均質性試験から得られた試料のカビ数の常用対数の平均値は5.776、標準偏差は0.043でした。微生物試験結果の対数の室間再現性は0.25程度と言われおり、0.043という標準偏差は結果に影響しないと考えられたため、この試料を採用しました。

技能比較試験スケジュール
試料配付 10月26日  
結果提出締切 11月16日  
最終報告書配付  1月7日  

 

技能試験結果

35カ所の参加機関からカビ数(CFU/mL)が報告されました。報告値の常用対数のヒストグラムを下図に示します。試料1mL中のカビ数の常用対数分布の最頻値は5.4-5.6付近にあり、最頻値の両側にほぼ対象に広がった分布となりましたたが、高い側に1個の離れた値が見られました。 全体の平均値は5.57、標準偏差は0.23、ロバスト平均値は5.55、ロバスト標準偏差は0.18でした。ロバスト標準偏差は、微生物試験結果を常用対数化した際の一般的な室間再現性と言われている0.25よりも小さくなりました。

 

参加試験所から報告されたカビ数(CFU/mL)の常用対数のヒストグラム

報告値のロバスト平均値とロバスト標準偏差を用いて計算したz-スコアを下に示します。

35試験所中z-スコアが-2〜2の範囲外(疑わしい)となった試験所は2試験所ありました。-3〜3の範囲外(不満足)となった試験所は1か所で、この試験所のz-スコアは5以上で、手順を見直していくことが必要と考えられます。

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フォローアップ研修 (プログラム、アンケート結果等)

前述のように、本技能比較試験は参加者の教育と技能向上を目的としたフォローアップ研修を実施しています。食品の技能比較試験カビ数第4回のフォローアップ研修は、2019年2月12日に行われました。以下に研修内容を示します。

T 開 会

挨拶 公益社団法人日本食品衛生協会 技能比較試験委員会委員長 森 曜子

U 研 修

1.食品の技能比較試験 カビ数第4回試験結果の概要
  公益社団法人日本食品衛生協会 松田 りえ子
2.カビ数技能比較試験条件等の集計結果 公益社団法人日本食品衛生協会 秋葉 達也
3.カビの基本 NPO法人カビ相談センター 高鳥 浩介
4.カビの検査 カビアドバイザー 法月 廣子

 

アンケート結果

フォローアップ研修時に、研修内容に対するアンケートを実施しました。
研修会の内容についての質問では、

非常に良かった 8
良かった 5
普通 2
少々不満 0
無回答 2

の回答があり、以下のような意見が寄せられました。

  • カビは、細菌と比べて分散させづらいという点が参考になった。
  • 社内で理化学系の人が多く、生物学系試験について聞ける人がいないためとても勉強になった。
  • わかりやすい内容のため、同僚に伝えやすい。
  • 通常の検査では、カビ数を見ることはないので参加して非常に良かった。
  • 非常に細かい統計データを見せていただき、非常に良かった。
  • ロバスト標準偏差の実例を知りたい。
  • 試験参加者数が少ないように感じられたので集計結果についてもう少し情報が欲しかった。
  • 不満足であった試験所がどのような操作を行い原因はなにかの説明があいまいだった。
  • カビの基本がわかりやすかった。
  • カビの検査における様々なテクニックを知ることができ、勉強になった。